=キング of ビースト=
「由莉、来い。」
命令しているのに全然嫌じゃないのは、普段より優しい口調だからだろう。
私は2人掛けのソファーに座ってタバコを吸っている夜琉に近づく。
夜琉が私の手を取って、隣に座らせる。タバコをもみ消すと
「大丈夫か?」
と言って眉を下げて、湿布の貼ってある方の頬に手を伸ばして聞いてくる。
私はその夜琉の手を握り笑いながら言った。
「大丈夫だよ。」
「…。」
「夜琉?」
「あ?」
「傘下の人達、良い人ばっかりだったね。」
「ああ。」