=キング of ビースト=
「…行く。もう、あんな風にはさせない。」
夜琉は本当に潰すと思うから私も行く。
もうあんな思いはしたくないんだ…。今でも鮮明に思い出せる。
血に濡れたコンクリート。狂ったような目。恐怖に満ちた叫び声。サイレンの音。
目の前にいる夜琉が、あの時のようになったらと思うと手が震えてきた。
ヤバい。最近でてなかった発作が起こるかもしれない。
冷や汗が背中をつたったのを感じ気を落ち着かせようとゆっくり目を閉じた。
するとシトラスの香りに包まれギュッとされる。
「落ち着け。」
私の異変を感じ取った夜琉が、頭を優しく撫でながら甘い声で言ってくる。