=キング of ビースト=
「回りくどい言い方は嫌いだから、単刀直入に言う。このハンカチの持ち主を知りたい。」
と親父の目をまっすぐ見て、言った。
すると親父はそのハンカチを見て、
「このハンカチー…。」
と言って口を閉ざした。
その様子を見て俺は、親父が何か知ってると勘ずいた。
だけど親父は
「残念だが、いくら璃玖の頼みとはいえ個人情報を漏らすことはできんな。」
珍しくまともな声で答える親父。
すると紅雨が
「おじさん。お願いだっ!!」
と必死に懇願する。
「どうして、そこまでしてこのハンカチの持ち主を知りたい?」
「っっ!!夜琉がっ「もういい紅雨。」
俺は紅雨の言葉をさえぎった。
紅雨は鋭く俺を睨む。
けど俺は、それを無視して親父を見つめ
「トラスト社長市村 璃人‐リヒト‐。…わざわざ俺の為に時間を作ってくれて悪かった。今度は、親父に会いに行く。」
といって俺はソファーから腰を浮かせた。