=キング of ビースト=
「はよ。」
「おはよう。」
めったに自分からしゃべりかけることのない夜琉。
でも、由莉に対しては違う。
「話し合い終わった?」
「ああ。」
夜琉は相変わらず由莉の髪を撫でている。
「ごめんね。私の所為で、抗争になっちゃって。」
泣きそうになりながら言う由莉を見て、夜琉は自分の判断は間違えていたのかとふと思った。
だが、夜琉に後悔はない。
由莉は自分の所為で抗争が始まると思っていた。だがそのことに夜琉が気づかない訳がなかった。
「お前の所為じゃねぇよ。」
「…。」
「だから気にするんじゃねぇ。」
「私の所為で、誰かが血を流す。相手にしろ、仲間にしろ必ず血が流れる。」
「…。」
「もう自分の所為で血は流させないって決めていたのに。」