=キング of ビースト=
そしてーー…
俺達でさえ、目をそらしたくなるような冷酷を通り過ぎて無になった夜琉さんの目を見続けた由莉さん。
自分が、蹴られそうになっても決して怯えることのなかった由莉さんを見ると、絶対に蹴られないという安心感があったのだろう。
信頼関係が手に取るように分かった。
俺に信頼関係はあるのだろうか?
ただの下っ端と総長という立場の関係でしかないだろう。
『想い』を下っ端達に捧げる事が出来たら、夜琉さん率いる那龍のような強い信頼関係を築く事ができるのだろうか?
夜琉さんが由莉さんの肩を抱き、溜まり場を出て行くのを見ながら考えていた。