=キング of ビースト=



その瞬間私が思い出したのは門限のこと。

「やっばっ!!」

つい声に出した私の方を
月明かりに照らされた男のきれいな顔がゆっくりこちらに向いてくる。

漆黒の瞳と目が合った瞬間彼の射るような視線に耐えきれず徐々に目線を下げていくと彼の右腕が少し深い赤色に染まっていた。


それを見た瞬間私は無心で彼に近づき胸ぐらをつかみ引き寄せた。

見上げるようにして彼の漆黒の目をみて低い声で

「別にケンカをするなとは言わない。けど.....血、流すぐらいだったらやめとけば?」


何も写していない漆黒の瞳が見開かれる。


私はそんなことを気にせず胸ぐらから手を離し、制服のポケットからとりだしたハンカチを使って右腕の切られたところを止血するように強く縛った。


そんなに酷い傷ではないだろう。でも、ナイフで切られたようで出血量は多かった。

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