=キング of ビースト=



そう言えば、ハンカチの子の名前を知らないと思って


「名前なんて言うの?」


「・・・・。」


と聞いたけど、やっぱりシカトか。


「...あんたさ、常識知らないわけ?」


と、凛とした声で鋭く言われた。

びっくりした。やっぱり想像以上の子だ。要するにこの子は、人の名前を聞く前に自分から名乗れって言いたいのだろう。すると紅雨が


「ぎゃははははっ!!!...ははっ!!いいね。」


と笑いだした。珍しい。紅雨は明るい性格をしているが、他人の前では愛想笑いしかしない。

まぁ信頼している人とか信頼している人の血縁者や親友とかの前だったら、大丈夫だけど。


だけど紅雨はすぐに作られた笑顔をはりつけて、


「立花紅雨。あんたは?」


「由莉。金堂由莉よ。」

と言った。俺は

「失礼なことしちゃったね、俺は、璃玖。市村璃玖。璃玖って言っていいよ。」


「由莉よ。私のことは適当に呼んで。」

と言って、軽く微笑んだ。

あーヤバい。笑った顔かわいい。



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