=キング of ビースト=
「なぜそこまでする?璃玖は一番那龍を大切にしているだろう。」
と夜琉が言うと璃玖は真顔になり、少し目をうつむかせると
「この子には、それだけの価値があるから…きっと夜琉は変われる。」
そう呟いた後、寂しそうに微笑んだ。
そのあと少しの沈黙になったが、その沈黙を壊した私は
「で、何?私の目の前でそんな話してどーするわけ?」
と冷たく言った。この部屋にいる全員の視線が私に向けられるが、私は続けた。
「私が長谷夜琉を変える?私はそんなすごい人間じゃない。他を当たって下さる?あなたぐらいの人だったらいっぱい人は集まるだろうし。」
と言って、クルッと後ろを向き、ドアに向かって歩きだすと
「ふっ。やっぱ、おもしれぇ。」
と呟いた夜琉は、自らソファーを立ち上がり、私が開きかけたドアを手で押し、
ガッチャン
と言う音を立てて締めた。