君の左手
強引に横をむかされた時、葵とおばちゃんの心配する顔がわかった


言い様によっては危険に晒されていたって事だし。



「アユミ!!知らない男ってあんたもっと警戒心持ちなさい!!」



おばちゃんの激が飛びテーブルが震え上がった


小学生の剛にさえ呆れられて……






アイツにも警戒心持てって言われたけど、なんか……危険な感じがしなかったんだもん



『でもね、変な奴だったけど…危ないって感じじゃなか……ったから』



上着の裾を手に取りじっと見つめる葵


変わったデザインで生地的にも高いって事だけはわかった



「…なんっかさ……見た事あんだよね…」




ポケットが折り返しになっていて

一度見たら記憶されるものなのかもしれないけど…――








『知らないよ、あんな奴!だってアユミ初対面だもん!!』



シチューを最後まで口に入れて手を合わせた




葵とおばちゃんと会話しているうちに

心の中もシチューと同じでホカホカになったみたいだよ












お母さん…―



何処に行ったの?





アユミを置いて行かないでよ





お母さんが居ないと寂しいよ

辛いよ―――
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