君の左手
ストーブの上でヤカンの音が鳴る


お湯が沸騰してシュー、シューって……





怒ってるみたい







お兄ちゃんは気まずそうに部屋を出て行って残されたのは

アンちゃんと二人きり。





「……まこちゃんはバァちゃんとこに養子に入る事にしたんだって……

アユミはまだ高校一年なんだから学校に通った方がいいよ…―」






熱くなったヤカンでお茶を入れる

湯呑みから湯気が立ってアンちゃんの顔を紅く染めた



本当は――。









お母さんと暮らしたい

お父さんの事だって大好きだけど、色んな相談が出来るのは母親だって思うから。











でも…―






「あのね、アユミがお母さんと暮らすのは難しいかもしれない……

結局仕事しなくちゃいけないしアユミを養うお金が足りないんだ……」






突き付けられる現実


普通に考えたらわかる事だよね







お母さんとは一緒にいられない










アユミは…――




どうすればいいのかな…?
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