君の左手
★2★ アイツ
『また此処来ちゃった…。』
お母さんとお父さんのどっちに付くか…
1人で考える為に、家の近くの公園に来た。
アンちゃんは心配してたけど、アユミの気持ちを尊重してか… 案外すんなり出してくれたから。
アイツと会った公園。
もしかしたら…、また会えるかもって期待が合ったんだ。
1日で色んな事が起きて、頭ん中ぐちゃぐちゃ…。
アイツに会って、アンちゃんから真実を聞かされて。
また…―
アイツに会いたくなった。
顔なんか全然好みじゃないし、性格だって意地悪そうだし。
鼻で笑って… でも心配してるのが態度でわかった。
あの時泣き止めたのは、アイツが側に居てくれたから。
ちょっかい出しながら、暗い夜から引っ張ってくれた。
何でこんなに気になるのかな……。
1回しか会ってないのに、何で会いたいなんて思うんだろ。
昨日アイツが立ってた所に向かった。
あんな夜中に…、何やってたんだろう。
日陰でじめじめした花壇。
日中でも光が当たらなくて、生えてるのは雑草だけ。
草ばっかの場所に1ヵ所だけ、誰かが埋めたような土の膨らみがあった。
陰気な場所に土の山…。
『何これ…、気持ち悪っ。』
足を引いて後ろに後ずさりした。
「お〜い!」
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