君の左手
『そう思うならどっか行ってよ!

本当にほっといて!!』


顔を逸らしブランコの方を見る


なんでだろう。



コイツの事は危険だと思えない


むしろ文句を言いながらもアユミの側に居てくれてる気がする




♪〜♪♪〜♪〜



葵からの着信が鳴り受話音量を下げて電話に出た


『葵?早く来てよ!

…えっ?……ちょっとね…

…いいから早く!!』


コイツの事を言ってやろうかと思ったけど、真横に居るのに口に出したら――




一応知らない相手だし、何されるかわかんないし。




『―ックシュ!!』



薄着で飛び出したせいで体が冷えてきた


葵を待っている時間も入れるとかれこれ20分は経ってるか…―





―バサッ―



肩に掛かる温もり


気が付くと隣の変な男の上着が掛かっていた



『ちょっと!どういうつもり?

こんな同情みたいなのいらないんだけど!!』



知らない男に同情される程困ってない


上着を剥ぎ取ろうとした時、急に鼻を摘まれた


自慢じゃないけどアユミの鼻は人より低い




どんなに頑張っても高くならないんだから

これ以上低くなる様な事はしたくないのに



『ぢょっ!何ずんの゛!!』
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