君の左手

背中越しの愛

アイツがいなくなってから数分―――



カチャンという音が聞こえベンチから立ち上がった




「アユミ〜!!」




声のする方を見ると自転車を立て掛けた葵が立っていた


アイツが戻ってきたかもなんて……何でそんな事思ったんだろう






額にうっすら汗を滲ませて息を切らしている幼なじみに

感謝で一杯になった。






『あ…りがと……』





言葉にならない気持ちを伝えたくて葵の手を握る


葵は落ち着かせる様に背中をポンポンっと叩いて、再びベンチに座らせた



「大丈夫?…って大丈夫な訳ないか……」




ポケットに手を入れてギュッと握りしめた紙









お母さんからの手紙…―
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