僕等がみた空の色
いきなり藍が手を離した。
それに急に不安になって顔を上げたら。
ぐいっ――…
抱きしめられてた。
藍の広い腕の中に、ちっぽけなあたしの体全部。
「だいじょうぶ、俺はここにいるから。」
話し出してから、初めて藍が発した言葉。
目頭が熱くなって目を閉じた。
涙なんか出るはずないのに。
「……気づいたら、車が、迫ってて…。」
頭が真っ白で、足なんか動かない。
ただ漠然と、死ぬのかな、て。
やり残したこといっぱいあるけど、アオと一緒なら……。
「アオは違った。…あんなときでも、ヒーローなの……。」