僕等がみた空の色
あたしを突き飛ばした。
倒れこんだあたしは、痛みに堪えながら体を起こした。
目の前にいるはずのアオはいない。
少し先にある車。
さらにその先。
「赤いの、全部……。雪が積もって、白いはずなのに………!」
訳が分からなかった。
その赤の中心にはアオがいて。
動かない。
何度名前を呼んでも。
揺り動かしても。
その手はピアノを弾かない。
あたしの手を握り返さない。
その閉じられた瞳は、もうあたしを見ない。