僕等がみた空の色
そのとき、藍が強くあたしを抱きしめた。
藍の温もりに包まれながら、息を吸い込んだ。
「後のことは、あんまり覚えてないの……。事故のときだってあやふやだし。」
ただ、責めた。
ケータイ使っててよそ見したドライバーの人は、ひたすら謝ってた。
そんなことで、て怒った。
くだらないことで。
アオが犠牲に。
「でもね、その人……毎年、事故の日に…アオの命日に、あたしとアオの家に手紙送ってくるの……。」
出所してからは、お墓に花まで……。
「恨めない、そんな人……。気づいた、間違ってるって。」
でも、じゃああたしはどうしたらいい?
何でアオの穴を埋めればいいの?
「多分、……狂ってた。アオがいないことに堪えられなくて…。」
その矛先はママ。
筋違いも甚だしい。
「泣かせたの、ママを。『ごめんね、六花、ごめんなさい』……って。」
ちがう、泣かせたいんじゃない。
毎日、夜に泣いてるママを。
ピアノさえ弾かないママを見て。
違う、ママじゃないの。
悪くない。だから、泣かないで。
……じゃあ、だれ?
「そのとき、何かが崩れた……。」
あたしが悪い。