僕等がみた空の色
「だから、ピアノも弾けない。いつも、思い出すから。」
ピアノを弾いても。
雪が降っても。
血が流れても。
「アオの声が聞こえる。あたしは、忘れちゃいけない。アオと同じ苦しみを味わうことが、償いになるの。」
汐だって、そうだ。
アオを追い掛けてきて、血溜まりの中心にいるアオを目撃してしまった。
それこそ、壊れたように泣き叫んだけど、汐はあたしより強かった。
もう、あの事件に囚われてない。
糧にして前に進んでるのに。
「あたしには…っ、その方法が分からない!何をしても、咎められる気がして…!」
真っ暗なの。
出口が見つからない。
「もう……あたし、疲れた。」
藍に全体重をあずけて呟く。
伝えたいこと、今ではなんだったか忘れてしまった。
ただ、知ってほしかった。
あたしのこと。
そしたら……
「六花。」
何を言われるのかな。
身じろぎひとつせず、耳だけ傾ける。
それを分かっているから藍は続けた。