僕等がみた空の色
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『アオ、何弾いてるの?』
コンクール前、あたしの知らない曲を弾いていた。
コンクールの曲ではなかったから、思わず尋ねた。
『クリスマス兼、誕生日プレゼント。六花の曲』
夕日に光る笑顔。
しなやかな指。
『あたし?』
『そ。雪のイメージ。だから、六花の曲。』
六花は雪の異称だから。
『アオが作ったんでしょ?あたし、こんなにキレイなんかじゃないよ。』
『確かにな。ガサツだし、うるさいし、よく笑うし。』
『殴られたいの?』
『嘘だって!六花はキレイだよ。キラキラしてて、いつも笑っててくれるから。』
握りしめた手。
伝わる体温。
それは、君がいたからだよ。
あなたがいなかったら、あたしはこんなにも空っぽだった。
『ハッピーバースデー、六花。これはプレゼントな。』
『……ありがと。すごく嬉しい。ね、もっかい弾いて?』
いつも無意識に流れる。
自分の存在がなんだか愛おしくなった。
『来年も、作ってくれる?』
『こんなんでいいの?』
『こんなんなんかかじゃないよ!アオはすごいね。将来、作曲家とか。』
『あはは、いいかもな。』
でも俺は、六花のために書けるんだったらそれでいい。
もう遠い、儚い日々。