僕等がみた空の色
「そんなこと、分からない。」
軽く睨みつける。
「六花にとって、蒼は大事な人。それで充分だよ。」
思い出と一緒に生きればいいんだ、と言った。
でも、枷にするのではなく、囚われるのではなく、共存するのだと。
「……よく、分からないよ。」
「うん…。でも、きっと大丈夫。忘れなくても、前には進める。手を繋いだままでも、一緒に走ればいいだろ?」
アオは、あたしの大切な人。
アオが笑ってくれたら、嬉しい。
幸せだったら嬉しい。
アオの大切な人はあたし。
だから、同じなんだ。
アオに償ってるつもりで苦しめてたんだね。
忘れないよ、あたしは、アオのこと忘れない。
だって初恋の人だから。
あの幸せな記憶は、消そうと思っても消せない程、あたしそのものなんだ。
早く気づけばよかった。
囚われて留まるのでなく、一緒に進めばいいことに。
『六花。』
優しい、声。
……あぁ、忘れてた。
だってこんなにも、幸せな時間。
大切にしなきゃ、もったいないよね。
アオ、見つけたよ。
あたしの進む道。
合ってるのか間違ってるのかは、進まなきゃ分からないんだ。
アオ、伝えたいよ。
ありがとう。
あたしの、大切な人。
きっとこれからも、ずっと。
だから前に進む。
糧にする。
あなたがいたからあたしはいるの。
やっと、気づいたよ。