僕等がみた空の色





例えば、不意に見せる、哀しい瞳。


いつもと違う音色。


前触れのない欠席。


強く抱きしめられたとき。


名前を、呼んだとき。


泣きそうに『怖い』と言った。


『不安』だと。




気づけばよかった。

正体の分からない何かに、もっと執着していれば。




あの言葉も信じていいのか分からなくなってしまった。


後悔ばかりが押し寄せる。




その度に、あなたとの思い出が汚されていくようで怖かった。




ねぇ、あなたが教えてくれたんだよ?




こんな気持ちにさせないで。


……早く、はやく。









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