僕等がみた空の色





だから泣きそうになった。

誰かの愛情がこんなにも嬉しいなんて思わなかった。



「わたしたちは、迷惑だなんて思ったことない。子供を親が守るのは当たり前なんだ。」



「誰も悪くないの。…でも、逆に六花を追い詰めてたこと、後悔してるわ。」


あれは、ママの優しさだったのに。



あたしは頭を横に振った。


「それだけ苦しめてたんだ…。だから今日から約束して。」



二人をしっかり見据えて口を開く。



「もう気を遣わないで。悪いことは悪いって言って。」



次から次へと言葉が出る。




ママにピアノを弾いてほしい。

ピアノ教室ももう一度開いてほしい。
ご近所さんからも催促されているの、知ってる。


そういったことすべてから遠ざけなくたって、あたしはもう大丈夫だから。

休日の日には趣味に没頭して。
パパが好きなことできないのはあたしもつらいから。




堰を切ったように溢れる要求。



お互い気を遣って言えなかったから。



確かに追い詰められてたことはあった。

でもそれが愛情だから、何も言えなかった。

もっと、普通にしたいの。







< 185 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop