僕等がみた空の色
第15楽章 風が吹く。
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『…ん』
何か聞こえる。
『――…か…ん』
誰……なに?
「六花ちゃん!!!」
「はぃッ!?」
鼓膜を震わす怒号に思わず返事をして、伏せていた顔をあげた。
夢という快適な異空間に旅立っていたあたしを強引に連れ戻したのは汐だった。
「もう!また寝てる。今の話聞いてた?」
話?
「今、自習じゃなかったっけ?」
まだ完全に覚醒してないあたしがフニャフニャ喋ると、汐が呆れたようにため息をついた。
ほんとに、いつのまに立場が逆転したんだか。
「それは5時間目の話。今は6時間目が終わったとこ。ちなみにLHRだったのね。」
「……うん。」
呆れながら口元が緩んでいるように見えるのは気のせいか。
汐が嬉しいときは、すぐ顔に出るから。
「2年生がする新入生歓迎会の出し物が合唱になったことは知ってる?」
そのときのロングは奇跡的に起きてたから知ってる。
頷くあたしに、満足げに汐が告げたのは、余命宣告されるよりも酷なものだったかもしれない。