僕等がみた空の色
けたたましい音をたてて教室のドアが勢いよく開く。
皆一様に驚いてそちらを見ると、さきほどの男子たちが教室にすべりこんで来ていた。
そこで、始まりのチャイムが鳴った。
男子たちは口々に安堵のため息や台詞をこぼしながら席に向かう。
遅刻しちゃえばよかったのに、と心の中で悪態をつく。
「結城くんギリギリじゃん」
「みんなで何してたのー?」
クラスの女子が、おそらく普段より高めの声で結城に聞く。
職員会議が長引いているのか、先生がなかなか姿を現さないためにクラス内はざわめいたままだ。
あたしは、聞こえてくる結城の声に、らしくもなくどぎまぎしていた。
中庭でのあの話を聞いて、本人を前に平静を保てというのは無理な話だ。
「内緒の話ー」
結城は人差し指を口元にあて、いたずらっ子みたいに無邪気に笑う。
「えー、怪しーい!」
「どーせえっちな話でもしてたんでしょ?」
そういう女子の頬は心なしか赤い。
分かりやすいそのリアクションに、なんだかチープさを感じる。
私には、もはや普通が分からない。
そのとき、先生が遅れてすまん、と言いながらやっと来た。