僕等がみた空の色
第17楽章 きっと曖昧で。
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指をひたすら動かす。
跳ねる、はねる。
譜面はもう覚えた。
あとは表現するだけ。
「……ストップ!」
椎名くんの鋭い声で我にかえる。
「ピアノとずれてるので、気をつけて。んじゃ、もう一回いきます」
その言葉にあたしだけが小さくはい、と答える。
今のは完全にあたしがはしった。
曲にのめり込んでしまい、椎名くんの指揮はおろか、周りなんて全く見ていなかったあたしの失態だ。
今度は指揮をよく見て、テンポキープしたが、すると指がもつれることが多々あった。
「……じゃ、今日はここまで」
椎名くんの言葉を区切りに、合唱メンバーはぞろぞろと体育館を出て行く中、あたしは自己嫌悪に陥っていた。