僕等がみた空の色
第4楽章 風に舞う。
気づけばあたしは走り出していた。
呆然としていたさっき―――結城に手を掴まれ我にかえると、やっと体が言うことを聞くようになった。
その手をさっきよりも強く、振り払った。
名前を呼ばれたけど、背中を向けてひたすら走った。
息を切らしたからってどうにかなるわけじゃない。
でも、何かしないと頭がおかしくなってしまいそうで。
必死で走った。
一階まで階段を駆け降りて、雪の降る中に突っ込んでいった。
余計苦しいだけなのに。
――…ねぇ、どうして?
どうしてあたしを置いていったの?
そんな理不尽な問いだけが頭をよぎり、それは浮かんだ瞬間に自分への戒めと姿を変える。
置いていったのは、あたしの方だ。
奪ったのは、あたしだった。
ああ、こんなにも雪が怖いのに、同時に、あなたがいるようで、愛しい。
胸は苦しいのに温かくなる。
頭は割れるように痛いのに、その痛みさえ愛しくて。
そなうち、体力に限界がきて、グラウンドのど真ん中に立ち尽くす。
「アオ……」
あたしのつぶやきは雪に吸い込まれて消えた。
最初から何もなかったように。