僕等がみた空の色
「ただ、あたしが結城とどーのこーのあるわけじゃないからね?」
「はいはい、分かってるよ。」
投げやりに答える汐は、最初の興奮状態が嘘のように冷静だ。
……あ、これは言わなくちゃ。
「汐、ひとつだけ。」
教室に戻りかけた足を止めて汐が振り返る。
「結城くん、あたしがピアノ弾けるって知ってる。」
胸の奥が痛んだ。
あの時のことを思い出すと、きれいすぎる言葉に胸がちくちくする。
汐の表情が硬くなり、驚きに染まっていく。
「……あたしも、なんでか分かんない…。」