僕等がみた空の色





頭では逃げなきゃ、てちゃんと考えたのに、こんなとき体は言うことをきかないもんだ。




大きな黒い影がドアの向こうから迫ってきたので、思わず身を引いたが動かない足のせいで後ろに倒れ込みそうになる。



やばっ……!

頭打つ!!!



目をぎゅっとつむって、これから襲うだろう痛みに備える。



すると、黒い影が手のようなものを伸ばして、あたしの手を掴んだ。


得体の知れないものに叫びそうになったが、頭を打って馬鹿になるよりいい、と咄嗟に判断して身を任せる。



そのままぐいっと引き寄せられ、腰にも手みたいなのが回され、安定させてくれた。




「楠?」




手みたい、じゃなくて、本物の手だったみたい。



「……結城?」


顔を見れば分かるのだが、幽霊でないことを確かめるために尋ねた。







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