僕等がみた空の色
「……あたし、ね」
うん、と結城が優しく相槌を打つから、魔法にかかったみたいに言葉がするりと出てくる。
「怖いの、ピアノを弾くこと。人を信じること。……全部。」
怖くて
だから
逃げて
全部嫌いになった
「結城が何を知ってるか、なんで知ってるかなんてどうでもいい。」
ただ、そこにいてくれた。
「俺だって、全部知ってるわけじゃないよ。」
口を開く結城を見ずに、あたしは続ける。
「それでいいの。」
いつか言ってもらった言葉を言う。
「知らなくても、あたしを必要としてくれたから、今日、塔に行こうと思った。……大分遅れちゃったけど。」
申し訳なく言うと、結城は言った。
「約束、守ってくれてありがと。」
……ほら、また。
いつもこうやって全部良い方向に変えていっちゃう。