赤い月 青い太陽
この程度のことで怒るほど


多喜子は感情豊かではないが、


「伊藤に負けた」


それは、何よりも屈辱だった。



次の英語の授業は

真面目に受けよう。





多喜子は自分に出された

白いマグカップを手に取った。


茶色のココアが揺れて


甘い匂いが喉より先に

嗅覚を刺激する。


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