赤い月 青い太陽
10月の校舎内を走る風は

もうすっかり秋の匂いを運んでいる。


特別教室棟に向かう為、
出た渡り廊下で頬を突風が撫でた。



「うわっ!」


中庭の銀杏が、半分くらいガイコツだ。

この風で、明日にはオール骨になってるかな。


少し、寂しい。


もう少し
あの立派な黄色を堪能していたかったんだけど。




「柄沢~」



気の抜けた声に呼ばれ、そちらを見やれば
召集かけた本人が教官室前の窓を開け
手招きをしている。



多喜子はまた、足早に3階を目指した。

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