赤い月 青い太陽
今の時期、各教室には煙突付きのボイラーが設置される。
それはこの社会科教官室も同じ。
冷えた廊下から教官室に入ると、火のぬくもりが多喜子の全身を包んだ。
・・・しかし、いつ来ても
狭い。
地歴公民科の教員分、7つの机。
どうしてここは配列気まま、
バラバラに並べられているのだろう?
規則正しく配置すれば
もう少し、スペースが取れるのに・・・。
そんなことを考えられるほどの余裕が、最初はあった。
が、今の多喜子は直立不動。
部屋の一番奥に陣取られた
担任・伊藤の顔と渡された
一枚のB5サイズのプリントを
交互に見ても、
なかなか自体を把握できない。