冷たい男
何を発するでもなく見ていた。
慌て顔を見られないように背中をむけた。
絡められた足にびくついた。
ギシリというベッドの音。
私の上に跨がった人は紛れも無いアイツで。
昨日というより数時間前に彼女への恋心を語っていたやつで。
ベッドに入る前に、私には触れないと彼女から怒られるからと言っていたやつで。
そう思うのに逃げないのは私で。
結局私はアイツに負けてしまった。
唇が重なることは一度もなかった。
三日間、想像とはまったく違うものとなった。
自分の家についてそしてようやく泣くことができた。
抱かれるだけでも幸せだと思っていた。
実際は冷たかった暖かみがなかった。
ただただ辛いだけだった。
アイツの前で泣かないことが私のちっさなプライドだった。