【番外編】あなたの隣で
「桜華っ、絶対に幸せになりなさい!!」
アタシの肩を掴んで揺らしながら、お母さんは必死に言った。
この2人には、色々なことがあったせいか、そういうのには敏感になっているんだろう。
「彩、桜華はしっかりしてるんだから、大丈夫だよ。
それに、今ここにいられるんだから、文句ないだろ?」
「でも……二十歳の誕生日に結婚なんて、やっぱり心配だもん!!」
「俺じゃ、不満?」
突然、後ろから声をかけられてみんなが振り返る。
「あっ、忍(シノブ)っ」
声をだしたのはお母さんだった。
「桜華をよろしくねっ。
とりあえず、家事全般は叩き込んでおいたから問題はないとは思うけど……
あぁ、でもこの子掃除下手なのよね……どうしよう。」
庶民からの大金持ちへの世界へ入ったお母さんは、家事は完璧にこなせる。
お父さんは金持ちの生活より普通に暮らしたいというちょっと、変わった人。
そのせいか、2人で暮らせる家をつくり、今はそこで中流家庭の生活をしているのだ。
「そこは、お手伝いさんがフォローしてくれるから大丈夫だもん。」