粉雪のマジック
『………』

『あり?驚いた?』

見上げれば目の前には彼氏。

いや、何で?

『あんたが時間前に来るなんて珍しいなって。』


『驚いたのはそっちかよ。』

と突っ込みを入れるあいつ。

『それと寝癖がない。』


いつも“寝癖王子”とかからかわれるくらいあんのに。


『母さんが、

“今日くらいシャキッとしなさい!!”

って言うから。』

と言いながらあいつは髪をクシャクシャとかく。

『あ~あ!!またグシャグシャにする!!』


とあたしが叫ぶと。

『いいんだよ。

お前がやってくれた髪の方がいい。』

とぶっきらぼうに言い、ベンチに座り込んだ。


……つまりあたしにやれと。

『全く、いつまでたってもおこちゃまだね~!!』

とか言いながら髪を丁寧に直すあたし。

そう言うあたしもお子ちゃまかもしれない。

髪を直しながらそう思った。


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