粉雪のマジック
『………はい、完成。』


『ん、』

てかまとめただけなんだけどね。

ま、さっきのグシャグシャよりましかな。

そうやって下に置いた鞄を取ろうとすると、


パシッ


急にアイツがあたしの手を取った。

『……なぁ。』

『ん?』

ドギマギしながら答えるあたし。

だってあいつが自分からあたしの手を取るなんて

想像出来なかったから。

『……どして手袋外さなかったの?』

『は?』

と、あたしの手で自分の頬を包むあいつ。


ドキ………


『あ~…やっぱあったかい。』

そんな安らいでるあいつに、


ただあたしはドキドキするだけだった。


『離してよ。』

『ん?繋いでよ?』

『バカ。な訳ないじゃない。』

そんな恥ずかしい言葉なんてあたしが言える訳ない。

だって素直になれないもん。

『しょうがないな。

ほら?』

と立ち上がり、あたしに手をさし伸ばすあいつ。


『……しょうがないな~』

とそっとあいつの手を包み込むあたし。

もしかしたらね?

今日はいつもより

素直になれるかもしんない。

手の温もりから、

そんな事を感じた。

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