甘い声で、癒されて
「ちょ、ちょいと優さん待ちなさいな!」
そう言って、ぐいっと腕を引っ張る。
けれど、あっさりとはじかれた。
「・・・え、ええと」
「あのさ。もう俺についてこないで」
「え?」
いつもみたいな、優しい声じゃなかった。
冷たい、冷たい、声だった。
「いっつもいっつも、着いてこられて、いい加減迷惑」
「優くん?」
頭が真っ白になりながら、あなたの名前を呼ぶ。
「うっとうしいから、もうついてこないで」
深く、深く、その言葉が心に刺さった。
痛くて、痛くて、泣きそうなほど。
『うっとうしい』なんて、いつも聴き慣れてるじゃん。
それなのに、なんで、こんなにも・・・ひどく感じるの?
スタスタと、優くんは歩いていった。
たくましい、その背中は、泣いてるように見えた。