甘い声で、癒されて
「な、なんで笑ってるの・・・!」
「別に。あんたの気のせいなんじゃないの」
「な。なにをぅ!?」
「顔、赤いし」
また、ニヤリと笑う。
ああ、もうやめて。
耳だけじゃなく、体全体が溶けそうになる。
熱くて熱くて、死にそうなほど、熱い。
「み、見ないでよ!」
「見たくて見てるんじゃねーし」
そう言うと、優くんはバンソウコウを、べしりと私の手に貼り付けた。
「あ、ありがとう」
「どういたしまして」
また、ニヤリと笑う。
自然と、首を曲げ、そっぽを向いた。
「めずらしいもん、見れたしね」
とぼとぼと歩いていく背中を見つめていると、声がした。
やはり、その声の主は、今歩いているたくましいあなたで。
「うっさい!!」
そう言って、ベンチから立ち上がり、再び優くんの隣へと歩いた。