Devil†Story
第1夜 Black Cafe[見直し予定
午前零時を過ぎた夜。
街の一部はまだ眠らずに煌々と明かりがついている。
雲の間から月が覗いているが、分厚い雲が空を覆っていた。今にも雪が降るようなそんな空模様だ。


その暗い夜空にバサバサと羽音が聞こえてきた。鳥や蝙蝠等の羽音ではない。もっと大きな何が飛んでいるような音だ。飛んでいた何かが巨大なタワーの上に降り立った。バサリとその羽を羽ばたかせ、タワーの上に立っているシルエットは人の形に羽が生えている。一見は天使のように見えるが、その背中から生えている翼の色は漆黒である。


「………」


街並みを見下ろして辺りを伺っている。首につけていた赤い雫の形をしているネックレスが淡く光っていた。


ーーキィン


「!」


何かを感じたらしく、その方向に顔を向けた。その視線の先は明るい街並みとは正反対の住宅街や林等がある。寝静まったごく普通の住宅街に見えた。


「……この気配」


その何かが呟く。


ーーポツッ


その呟きに反応するかのように真冬だと言うのに雪ではなく、雨が降り出した。冷たく勢いが増す雨が降り注ぐが不思議な事にその何かがいる場所は濡れていなかった。
また天候の方も不思議で変わらずに、雲の隙間から満月が顔を出している。それにも関わらず大雨が降り注いでいる。
その月が雲で一瞬隠れる。
闇夜に紅の瞳が光った。





【第1夜 Black Cafe】
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