Devil†Story
第4夜 白黒の子ども[見直し中]
あれから数日後。
「はぁ……」
俺は春の風が吹く公園のベンチで溜め息をついていた。普段なら絶対にこんな所になんて来ない。しかし現実、俺は楽し気に遊ぶ家族連れやガキの声で賑わう
真昼間の公園に来させられている。
「おにぃーちゃーん!」
俺をでけぇ声で呼ぶ声が聞こえてきて声の方に顔を向ける。ここ数日間で聞き慣れたこの声。
「クロムお兄ちゃんってばー!」
満面の笑みで俺の所に走って来ているのは、あの夜に会った輝太だった。手が取れるのではないかと思う程、俺に向かって手を振っている。このまま無視をしていればもっとでけぇ声を出すのは目に見えていたので、俺は仕方なく軽く右手を上げた。
輝太は笑顔で俺の目の前まで来て膝に抱きついてくる。「えへへ」とはにかみながら俺の方を見て嬉しそうだ。
「ねー!クロムお兄ちゃん!来て来て!僕ね!けん玉出来るようになったんだよ!クロムお兄ちゃんに見せたげる!」
名前の通り輝く笑顔で俺を見てくる輝太に溜め息が出た。
「…ならこっちにけん玉持ってこい。なんで俺が行かなきゃなんねぇんだよ」
「クロムお兄ちゃんずっと座ってるから連れてきてって稀琉お兄ちゃんが言ってたから!」
「あいつ……」
稀琉の野郎…余計な事を言いやがって。輝太が来た方向を見ると下の河原に稀琉が立っており俺が見てるのに気付くと頷いて手招きしている。……なんだあのドヤ顔は。てめぇは俺の保護者気取ってやがんのか。…ムカつくから帰りにいっぺん殴る。
「でもゆっくりでいいよ!クロムお兄ちゃん左手"骨折"してるんだもんね!僕が支えてあげる!」
稀琉への悪態をついていると、固定されている左肩を見た輝太は心配そうに、手を差し出してきた。
「自分で歩いてここに来てんだからいらねぇよ。行くから先行ってろ」
仕方なく立ち上がると輝太は「ダメだよ!僕に任せて!ゆっくり行こう!」と右手を掴んで自分の肩に回し、腰にも手を回してきた。
「いらねぇって。大体俺とお前の身長差じゃ支えるも何もねぇだろうが」
「大丈夫!僕力持ちだから!」
そう言うと腰に回した手の力を込めた。…確かに思ったより強いんだが。それは支えるじゃなくて力を込めてるだけなんだっての。
「うーん…確かにクロムお兄ちゃん大きいからこれじゃダメかも」
支えられていない事に気付いた輝太は俺から手を離した。
「分かったなら先行ってろ」
俺の言葉は聞いていない様で何かを考えている輝太はハッとして何かを思いついたらしい。俺の方を見て満面の笑みを浮かべていた。
「…そうだ!僕がおんぶしてあげる!」
「……馬鹿にしてんのか?」
輝太からしたら名案、俺からしたら愚案を提案した輝太に思わず普段の様に返してしまう。しかし輝太は気にする事もなくドヤ顔をしてきた。
「そんな事ないよ!だって僕、先生の事もおんぶした事あるから!」
「任せて!ほら!」としゃがんで背中に乗れと後ろに手を伸ばす輝太を見て呆れてしまう。
「………」
俺は輝太の側に行き、右手で輝太の体に手を回すとそのまま担ぎ上げた。
「え!?ちょっとクロムお兄ちゃん!?」
「暴れんな。いてぇだろうが」
「ごめんなさい…。でも!僕は大丈夫だからおろしてよ!」
「耳元ででけぇ声出すな」
「でも!」
「これ以上俺の怪我を増やすな。いいからガキは黙って背負われてろ」
そこまで言うとようやく輝太は大人しくなる。そして「わぁ…クロムお兄ちゃん大きいから地面がこんなに遠いね!公園の中がよく見えるよ!」と光の速度で切り替えた後、楽しそうにし始めた。フードを被った少年が輝太を抱えて歩く異様な光景に辺りにいた人達はヒソヒソと話をしている。…クソ。だからこんな所来たくねぇんだよ。鬱陶しい。
再び吹いた春の風と共に大きな溜め息をついた。
何故、俺がこんな事になっているか。
それは数日前に遡る。
【第4夜 白黒の子ども】
「はぁ……」
俺は春の風が吹く公園のベンチで溜め息をついていた。普段なら絶対にこんな所になんて来ない。しかし現実、俺は楽し気に遊ぶ家族連れやガキの声で賑わう
真昼間の公園に来させられている。
「おにぃーちゃーん!」
俺をでけぇ声で呼ぶ声が聞こえてきて声の方に顔を向ける。ここ数日間で聞き慣れたこの声。
「クロムお兄ちゃんってばー!」
満面の笑みで俺の所に走って来ているのは、あの夜に会った輝太だった。手が取れるのではないかと思う程、俺に向かって手を振っている。このまま無視をしていればもっとでけぇ声を出すのは目に見えていたので、俺は仕方なく軽く右手を上げた。
輝太は笑顔で俺の目の前まで来て膝に抱きついてくる。「えへへ」とはにかみながら俺の方を見て嬉しそうだ。
「ねー!クロムお兄ちゃん!来て来て!僕ね!けん玉出来るようになったんだよ!クロムお兄ちゃんに見せたげる!」
名前の通り輝く笑顔で俺を見てくる輝太に溜め息が出た。
「…ならこっちにけん玉持ってこい。なんで俺が行かなきゃなんねぇんだよ」
「クロムお兄ちゃんずっと座ってるから連れてきてって稀琉お兄ちゃんが言ってたから!」
「あいつ……」
稀琉の野郎…余計な事を言いやがって。輝太が来た方向を見ると下の河原に稀琉が立っており俺が見てるのに気付くと頷いて手招きしている。……なんだあのドヤ顔は。てめぇは俺の保護者気取ってやがんのか。…ムカつくから帰りにいっぺん殴る。
「でもゆっくりでいいよ!クロムお兄ちゃん左手"骨折"してるんだもんね!僕が支えてあげる!」
稀琉への悪態をついていると、固定されている左肩を見た輝太は心配そうに、手を差し出してきた。
「自分で歩いてここに来てんだからいらねぇよ。行くから先行ってろ」
仕方なく立ち上がると輝太は「ダメだよ!僕に任せて!ゆっくり行こう!」と右手を掴んで自分の肩に回し、腰にも手を回してきた。
「いらねぇって。大体俺とお前の身長差じゃ支えるも何もねぇだろうが」
「大丈夫!僕力持ちだから!」
そう言うと腰に回した手の力を込めた。…確かに思ったより強いんだが。それは支えるじゃなくて力を込めてるだけなんだっての。
「うーん…確かにクロムお兄ちゃん大きいからこれじゃダメかも」
支えられていない事に気付いた輝太は俺から手を離した。
「分かったなら先行ってろ」
俺の言葉は聞いていない様で何かを考えている輝太はハッとして何かを思いついたらしい。俺の方を見て満面の笑みを浮かべていた。
「…そうだ!僕がおんぶしてあげる!」
「……馬鹿にしてんのか?」
輝太からしたら名案、俺からしたら愚案を提案した輝太に思わず普段の様に返してしまう。しかし輝太は気にする事もなくドヤ顔をしてきた。
「そんな事ないよ!だって僕、先生の事もおんぶした事あるから!」
「任せて!ほら!」としゃがんで背中に乗れと後ろに手を伸ばす輝太を見て呆れてしまう。
「………」
俺は輝太の側に行き、右手で輝太の体に手を回すとそのまま担ぎ上げた。
「え!?ちょっとクロムお兄ちゃん!?」
「暴れんな。いてぇだろうが」
「ごめんなさい…。でも!僕は大丈夫だからおろしてよ!」
「耳元ででけぇ声出すな」
「でも!」
「これ以上俺の怪我を増やすな。いいからガキは黙って背負われてろ」
そこまで言うとようやく輝太は大人しくなる。そして「わぁ…クロムお兄ちゃん大きいから地面がこんなに遠いね!公園の中がよく見えるよ!」と光の速度で切り替えた後、楽しそうにし始めた。フードを被った少年が輝太を抱えて歩く異様な光景に辺りにいた人達はヒソヒソと話をしている。…クソ。だからこんな所来たくねぇんだよ。鬱陶しい。
再び吹いた春の風と共に大きな溜め息をついた。
何故、俺がこんな事になっているか。
それは数日前に遡る。
【第4夜 白黒の子ども】