Devil†Story
「この子は約3ヶ月前にクロムに頼んだターゲットの子。まぁ、普通に刺殺しただけ」
「普通と言ってもクロムの武器の大きさは普通じゃないけどさ」と刺された腹部を人差し指でトントンと叩いた。
麗「あぁ…。あの俺と稀琉が丁度任務で居らんかった時のか」
俺は写真の女の子の死体を見た。左上にローマ字で「Ayana」と記名されている。…なかなか可愛えのに勿体無いなぁ…。こんな可愛い子も恨まれるんやから何が人を鬼にするか分からんもんやな。
「そう。報告書用にいつも探索メンバーに撮らせている写真。この時は依頼者もターゲットも殺ったんだけど…2人とも刺し傷だけでしょ?外傷は」
「あぁ…確かに」
腹部の傷以外は特に傷がついていない。…言うても直径15cm以上あるクロムの剣で刺されば簡単に死ねるけど。
「その次に頼んだある組織の殲滅…それも刺し傷だけだったってロスが言ってたんだ」
複数枚ある写真をまるでマジックのトランプを出す時みたいに並べる。数枚確認してみたが先程のあやなちゃん達と同じような傷だけであった。…それにしたってこの人数を2人で殲滅するとか驚きやけど。
「あーあの宗教団体の……。クロムの仕事振りはわかったんだけどその今回クロムに任せてる件と何が関係あるの?」
稀琉は真剣な顔付きで聞いた。稀琉はクロムの心配をしてるんやろな。稀琉は優しくて仲間思いやからな。確かにこんな死体の話と何が関係あるんやろ…。
刹那が無言で新しい写真見せた。その写真でその理由が分かった。
「なんやコレ…!」
「何コレ…!?酷い…!」
俺は言葉を失った。稀琉も同じ様で口元に手を持っていったまま止まった。その写真に写っていたのは……血塗れの肉塊。
もう男なのか女なのかも分からないくらい滅茶苦茶に切り刻まれた…人であるかも分からない肉の塊。数多の死体を見慣れてきた俺と稀琉でも気分が悪くなるくらい酷い死体だった。
「これは昨日の任務でクロムが殺したターゲット」
「ク…ロムが?」
声を振り絞る様に稀琉が信じられないといった表情で刹那を見つめると静かに頷いた。
「嘘やろ…原形止めてないやん」
目を背けたくなるような写真を俺は手にとって右下を見る。そこには「No.3」と書かれている。この数字はここに勤めた順に書かれている。No.1は稀琉、No.2は俺、No.3はクロム、No.4はロス。…即ちこの依頼を担当したのがクロムであることを意味している。
「で、でも!もしかしてこの人は依頼人に殺し方を指示されてたんじゃないの?それで……「いや?特に指定はなかったよ。死ねばいいよくらい」」
依頼のオプションに「殺し方」を選択できるものがあり、それでその様な指示があったのではないかと希望を抱いた稀琉の考えを無情にも刹那は言葉を被せるように言い放った。
「でもこの一枚だけなら…俺等には分からんけどなんか理由があったんとちゃう?」
殆どない可能性を口に出す。もしその1枚だけならわざわざ俺らを呼び出さないだろう。それでも…友達を信じたい気持ちがあってそう聞かずにはいられなかった。しかし案の定、刹那は首を左右に振ってその可能性を潰してきた。
「いくら2人でも気持ち悪くなると思って見せてないだけで他にもここまでじゃなくてもめちゃくちゃにやられてる死体は何体かあるよ。…2人共覚えてるかな?2ヶ月前のあの日…輝太くんの両親も殺されてた事」
「あぁ…。あの切り刻まれたやつか……。…!まさか…!?」
刹那は俺の言葉に頷き言葉を続けた。
「そう。本人ははぐらかしたけど殺したのは間違いなくクロムだと思ってる。証拠もないからそれ以上問い詰めてないけど契約違反までして殺したのは輝太くんの為だと最初は思ってたんだけど…そんな甘い考えじゃなかった。なんにせよあの時からスイッチが入っちゃったみたいで死体を滅茶苦茶に切り刻む様になったんだよ」
「お陰で探索メンバーがその場で嘔吐しちゃうことが続出してて、クロムの任務の後に写真を撮るのを嫌がるようになって大変だよ」と遠い目をして盛大な溜め息をついた。
…そら、こんなに損傷の酷い死体を生で見て写真に収めなければならないのはキツイやろ。それだけならまだしもターゲットが抵抗した後、匂い、その辺に散らばってるであろう血や体の一部がある現場に行かなアカンのやから。
人の生への執着は凄いものだ。殺されると分かれば抵抗をしてくるのは当たり前だ。その跡を見た時の気持ちが落ち込む感覚というのは何年経っても慣れるものではない。
「どうして…」
稀琉は眉をひそめて呟いた。その表情にあるのは悲しみと戸惑い。俺だって戸惑ってる。
何故や?何故そんなん事までしてるんや?先程廊下で会った友人を思い返すといつも通り…いや、手を上げて反応してくれるくらいだった。それが昨日あんな風に人を切り刻んだとは到底思えなかった。
「まぁ…殺し方を指定すればちゃんとやってくれるんだけどね…」
「…でもなんでクロムに任せてたの?もし分かってたんなら逆に落ち着くまでそういう任務させない方が…良かったんじゃないの?」
稀琉が静かに…でもはっきり言った。確かにその通りだと思うわ。もしかしたらトランス状態かもしれへんし…。
「その通りやんか。一旦止めさせた方が良いんとちゃう?てか俺らに言われなくても刹那ならその考えに至ってたんとちゃうの?」
刹那はため息を吐いて首を横に振った。
「もちろん思ってたけどそれは出来ない」
「なんで?」
「だって…クロムに頼まれたんだから」
「えっ?」
刹那はまたため息をつきながら言った。
「普通と言ってもクロムの武器の大きさは普通じゃないけどさ」と刺された腹部を人差し指でトントンと叩いた。
麗「あぁ…。あの俺と稀琉が丁度任務で居らんかった時のか」
俺は写真の女の子の死体を見た。左上にローマ字で「Ayana」と記名されている。…なかなか可愛えのに勿体無いなぁ…。こんな可愛い子も恨まれるんやから何が人を鬼にするか分からんもんやな。
「そう。報告書用にいつも探索メンバーに撮らせている写真。この時は依頼者もターゲットも殺ったんだけど…2人とも刺し傷だけでしょ?外傷は」
「あぁ…確かに」
腹部の傷以外は特に傷がついていない。…言うても直径15cm以上あるクロムの剣で刺されば簡単に死ねるけど。
「その次に頼んだある組織の殲滅…それも刺し傷だけだったってロスが言ってたんだ」
複数枚ある写真をまるでマジックのトランプを出す時みたいに並べる。数枚確認してみたが先程のあやなちゃん達と同じような傷だけであった。…それにしたってこの人数を2人で殲滅するとか驚きやけど。
「あーあの宗教団体の……。クロムの仕事振りはわかったんだけどその今回クロムに任せてる件と何が関係あるの?」
稀琉は真剣な顔付きで聞いた。稀琉はクロムの心配をしてるんやろな。稀琉は優しくて仲間思いやからな。確かにこんな死体の話と何が関係あるんやろ…。
刹那が無言で新しい写真見せた。その写真でその理由が分かった。
「なんやコレ…!」
「何コレ…!?酷い…!」
俺は言葉を失った。稀琉も同じ様で口元に手を持っていったまま止まった。その写真に写っていたのは……血塗れの肉塊。
もう男なのか女なのかも分からないくらい滅茶苦茶に切り刻まれた…人であるかも分からない肉の塊。数多の死体を見慣れてきた俺と稀琉でも気分が悪くなるくらい酷い死体だった。
「これは昨日の任務でクロムが殺したターゲット」
「ク…ロムが?」
声を振り絞る様に稀琉が信じられないといった表情で刹那を見つめると静かに頷いた。
「嘘やろ…原形止めてないやん」
目を背けたくなるような写真を俺は手にとって右下を見る。そこには「No.3」と書かれている。この数字はここに勤めた順に書かれている。No.1は稀琉、No.2は俺、No.3はクロム、No.4はロス。…即ちこの依頼を担当したのがクロムであることを意味している。
「で、でも!もしかしてこの人は依頼人に殺し方を指示されてたんじゃないの?それで……「いや?特に指定はなかったよ。死ねばいいよくらい」」
依頼のオプションに「殺し方」を選択できるものがあり、それでその様な指示があったのではないかと希望を抱いた稀琉の考えを無情にも刹那は言葉を被せるように言い放った。
「でもこの一枚だけなら…俺等には分からんけどなんか理由があったんとちゃう?」
殆どない可能性を口に出す。もしその1枚だけならわざわざ俺らを呼び出さないだろう。それでも…友達を信じたい気持ちがあってそう聞かずにはいられなかった。しかし案の定、刹那は首を左右に振ってその可能性を潰してきた。
「いくら2人でも気持ち悪くなると思って見せてないだけで他にもここまでじゃなくてもめちゃくちゃにやられてる死体は何体かあるよ。…2人共覚えてるかな?2ヶ月前のあの日…輝太くんの両親も殺されてた事」
「あぁ…。あの切り刻まれたやつか……。…!まさか…!?」
刹那は俺の言葉に頷き言葉を続けた。
「そう。本人ははぐらかしたけど殺したのは間違いなくクロムだと思ってる。証拠もないからそれ以上問い詰めてないけど契約違反までして殺したのは輝太くんの為だと最初は思ってたんだけど…そんな甘い考えじゃなかった。なんにせよあの時からスイッチが入っちゃったみたいで死体を滅茶苦茶に切り刻む様になったんだよ」
「お陰で探索メンバーがその場で嘔吐しちゃうことが続出してて、クロムの任務の後に写真を撮るのを嫌がるようになって大変だよ」と遠い目をして盛大な溜め息をついた。
…そら、こんなに損傷の酷い死体を生で見て写真に収めなければならないのはキツイやろ。それだけならまだしもターゲットが抵抗した後、匂い、その辺に散らばってるであろう血や体の一部がある現場に行かなアカンのやから。
人の生への執着は凄いものだ。殺されると分かれば抵抗をしてくるのは当たり前だ。その跡を見た時の気持ちが落ち込む感覚というのは何年経っても慣れるものではない。
「どうして…」
稀琉は眉をひそめて呟いた。その表情にあるのは悲しみと戸惑い。俺だって戸惑ってる。
何故や?何故そんなん事までしてるんや?先程廊下で会った友人を思い返すといつも通り…いや、手を上げて反応してくれるくらいだった。それが昨日あんな風に人を切り刻んだとは到底思えなかった。
「まぁ…殺し方を指定すればちゃんとやってくれるんだけどね…」
「…でもなんでクロムに任せてたの?もし分かってたんなら逆に落ち着くまでそういう任務させない方が…良かったんじゃないの?」
稀琉が静かに…でもはっきり言った。確かにその通りだと思うわ。もしかしたらトランス状態かもしれへんし…。
「その通りやんか。一旦止めさせた方が良いんとちゃう?てか俺らに言われなくても刹那ならその考えに至ってたんとちゃうの?」
刹那はため息を吐いて首を横に振った。
「もちろん思ってたけどそれは出来ない」
「なんで?」
「だって…クロムに頼まれたんだから」
「えっ?」
刹那はまたため息をつきながら言った。