Devil†Story
第3夜 甘い毒牙[見直し完了(大)]
クロム達が宗教団体を潰していた夜明け前。
「はぁ…はぁ…」
男は辺りを見渡した。怪我をしているのか腕からは出血している。
「くそっ!なんなんだ、あのガキ…!」
その男は教団員の1人だった。クロム達がアジトに潜入し殲滅している頃にその様子を"監視"していたのだ。その際に受けた傷が腕に傷跡を残していたのだ。他勢だったのでなんとか混乱に乗じてアジトから逃げ出すことに成功していた。“命令”であの組織に居たが……
「こんなヤバい仕事だなんて聞いてな――」
角を曲がった時だった。
ガシッ
「がっ…!?」
胸ぐらを掴まれた。
「やっと見付けた」
「!?や……ヤナ様!?」
胸ぐらを掴んだのは棒つきの飴を口に含んだ黒ぶち眼鏡をかけた青年だった。ニコッと不適な笑みを浮かべて飴を嘗める青年は少年と言った方がしっくりくる。
「何してるの?任務をほったらかしにして」
ヤナと呼ばれた青年が尋ねた。優しげな雰囲気とは裏腹に息がしづらいような異様な空気感があたりに漂っていた。
「も…申し訳ございません!黒髪の赤い目をした少年2人に殺されるそうになって…!」
男は必死にそう言う。
「……紅い目?」
「はい!組織を壊滅させる為にそれらしくしていたらその少年達はなんの躊躇もなく殺していただけではなく、たった2人で殲滅したんです!」
「で、逃げ出したってわけね……。そう……“そっち”側の奴が居たのか…。もしかすると"見つけた"かもしれないね」
相変わらず不適な笑みを浮かべながら言う。
「あ…あのヤナ様……」
この反応的に殺される心配はなさそうだ。安堵の表情をした矢先「あぁ、報告ご苦労様。じゃあ死ぬ?」そう笑いながらさらりと恐ろしい事を言われた。
「なっ…!?」
「何はともあれ俺に報告する前に逃げ出してそのままとんずらここうとしたわけでしょ?」
「しっ、しかし…」
「…俺の嫌いなもののベスト3教えよっか?3位は甘くないもの。2位は弱い奴。そして1位は……」
ドスッ
「がっ…!?」
次の瞬間、体をその少年の手が貫いていた。
「お前等“人間”だよ」
ズシャッ…と男は崩れ落ちた。
「“紅い目"ね。接触してみる価値はありそうだ」
口にあった棒付きの飴を取り出してペロッと手に付いた血を嘗めた。
「さてそうと分かれば…」
そう言って再び飴を口に入れてジャケットのポケットから携帯電話を取り出した。手慣れたように操作を行う。作業してからすぐに目星の物が見つかったようでニヤリと笑った。
「ビンゴ。…なるほどね。確かにここは怪しいと思ってたんだよね〜」
死体が側にあるというのに気にせずにネットを見て呟いた。その姿はその辺の男子高校生と変わらない。見ていたのは前日の夕方に多数の書き込みがされたあのクロムとロスがバイトをさせられたイベントの書き込みだった。様々な内容で注目を集めたためトレンド入りしてしまっていた。
ー赤のカラコンしてた人がイケメン過ぎて幸せだった〜
ーテーブルを拭いていた髪の長い人も中性的で良かったー!
ーでもなんか気持ち悪くなる匂いしたのが残念
様々な情報が"字"として蔓延っている。打ち込んだワードは「赤い目」や「黒髪」。それだけでBCのイベントの様子を書いた情報が見切れないほど溢れかえっていた。中にはコスプレについてやアニメについての投稿も見られたが普段からそんな格好をしている人物は少ないだろう。簡単にヒットしてしまった。
「馬鹿な奴等がこうやって勝手に情報を提供してくれるから情報収集が楽になったのだけは幸いだね」
独り言を言いながら次に「Black Cafe」で検索をかけるとカフェのホームページが見つかったので目を通す。商業用にネットを活用していたので今回のイベント等の情報が容易に出てくる。しかし流石に裏の仕事については出てこなかった。何故なら日中夜従業員や刹那が厳しく監視をして裏の情報が書かれた瞬間に削除要請を出して瞬時に消していたからだ。それなら何故、今回の悪い書き込みがまだ出てくるのか。その要因は2つあった。1つはクロムやロスに怒られるのが嫌で刹那が現場ではなく室内に居た為、匂いがしていた2人にすぐに気付かなかったこと、2つめはイベントに大半の従業員を派遣していたのでネットを確認するのが遅れてしまったことが原因であった。トレンド入りまでしてしまうと削除要請に時間を要してしまう。そう言った不運が重なり、その結果簡単に相手に情報を見られてしまう事態となってしまった。
「ふーん。ロゴも制作しているんだ。目印になりそう」
BCのロゴは十字架の右上と左下にハートが描かれているもので名刺やネームプレートだけではなく稀琉の帽子に刺繍されているものであった。クロムやロスのコートの端にもロゴが入っている。衣類にこのロゴをつけているのは"裏の従業員"だけであった。
「紅い目の2人がすぐ見つからなくともこのロゴをつけてる奴を捕まえて"教えて"貰えれば早いかもね。…いるか糸花(いとは)」
「はい」
暗闇に向かって呼びかけるといつの間に来たのか分からないが綺麗な女が電柱の側から姿を現した。
「このロゴつけてる奴に会ったら俺のところに連れてきてくれる?…ちょーっと"お話し"したいからさ」
携帯の画面を見せながら不敵に笑った。言葉の意味を理解した女は頷いて「仰せのままに」と再び電柱の影に行ったかと思えばすぐに消えていた。
「…フフッ。楽しくなりそうだ」
空け始めている空を見ながら楽しそうにヤナは呟いた。
【第3夜 甘い毒牙】
「はぁ…はぁ…」
男は辺りを見渡した。怪我をしているのか腕からは出血している。
「くそっ!なんなんだ、あのガキ…!」
その男は教団員の1人だった。クロム達がアジトに潜入し殲滅している頃にその様子を"監視"していたのだ。その際に受けた傷が腕に傷跡を残していたのだ。他勢だったのでなんとか混乱に乗じてアジトから逃げ出すことに成功していた。“命令”であの組織に居たが……
「こんなヤバい仕事だなんて聞いてな――」
角を曲がった時だった。
ガシッ
「がっ…!?」
胸ぐらを掴まれた。
「やっと見付けた」
「!?や……ヤナ様!?」
胸ぐらを掴んだのは棒つきの飴を口に含んだ黒ぶち眼鏡をかけた青年だった。ニコッと不適な笑みを浮かべて飴を嘗める青年は少年と言った方がしっくりくる。
「何してるの?任務をほったらかしにして」
ヤナと呼ばれた青年が尋ねた。優しげな雰囲気とは裏腹に息がしづらいような異様な空気感があたりに漂っていた。
「も…申し訳ございません!黒髪の赤い目をした少年2人に殺されるそうになって…!」
男は必死にそう言う。
「……紅い目?」
「はい!組織を壊滅させる為にそれらしくしていたらその少年達はなんの躊躇もなく殺していただけではなく、たった2人で殲滅したんです!」
「で、逃げ出したってわけね……。そう……“そっち”側の奴が居たのか…。もしかすると"見つけた"かもしれないね」
相変わらず不適な笑みを浮かべながら言う。
「あ…あのヤナ様……」
この反応的に殺される心配はなさそうだ。安堵の表情をした矢先「あぁ、報告ご苦労様。じゃあ死ぬ?」そう笑いながらさらりと恐ろしい事を言われた。
「なっ…!?」
「何はともあれ俺に報告する前に逃げ出してそのままとんずらここうとしたわけでしょ?」
「しっ、しかし…」
「…俺の嫌いなもののベスト3教えよっか?3位は甘くないもの。2位は弱い奴。そして1位は……」
ドスッ
「がっ…!?」
次の瞬間、体をその少年の手が貫いていた。
「お前等“人間”だよ」
ズシャッ…と男は崩れ落ちた。
「“紅い目"ね。接触してみる価値はありそうだ」
口にあった棒付きの飴を取り出してペロッと手に付いた血を嘗めた。
「さてそうと分かれば…」
そう言って再び飴を口に入れてジャケットのポケットから携帯電話を取り出した。手慣れたように操作を行う。作業してからすぐに目星の物が見つかったようでニヤリと笑った。
「ビンゴ。…なるほどね。確かにここは怪しいと思ってたんだよね〜」
死体が側にあるというのに気にせずにネットを見て呟いた。その姿はその辺の男子高校生と変わらない。見ていたのは前日の夕方に多数の書き込みがされたあのクロムとロスがバイトをさせられたイベントの書き込みだった。様々な内容で注目を集めたためトレンド入りしてしまっていた。
ー赤のカラコンしてた人がイケメン過ぎて幸せだった〜
ーテーブルを拭いていた髪の長い人も中性的で良かったー!
ーでもなんか気持ち悪くなる匂いしたのが残念
様々な情報が"字"として蔓延っている。打ち込んだワードは「赤い目」や「黒髪」。それだけでBCのイベントの様子を書いた情報が見切れないほど溢れかえっていた。中にはコスプレについてやアニメについての投稿も見られたが普段からそんな格好をしている人物は少ないだろう。簡単にヒットしてしまった。
「馬鹿な奴等がこうやって勝手に情報を提供してくれるから情報収集が楽になったのだけは幸いだね」
独り言を言いながら次に「Black Cafe」で検索をかけるとカフェのホームページが見つかったので目を通す。商業用にネットを活用していたので今回のイベント等の情報が容易に出てくる。しかし流石に裏の仕事については出てこなかった。何故なら日中夜従業員や刹那が厳しく監視をして裏の情報が書かれた瞬間に削除要請を出して瞬時に消していたからだ。それなら何故、今回の悪い書き込みがまだ出てくるのか。その要因は2つあった。1つはクロムやロスに怒られるのが嫌で刹那が現場ではなく室内に居た為、匂いがしていた2人にすぐに気付かなかったこと、2つめはイベントに大半の従業員を派遣していたのでネットを確認するのが遅れてしまったことが原因であった。トレンド入りまでしてしまうと削除要請に時間を要してしまう。そう言った不運が重なり、その結果簡単に相手に情報を見られてしまう事態となってしまった。
「ふーん。ロゴも制作しているんだ。目印になりそう」
BCのロゴは十字架の右上と左下にハートが描かれているもので名刺やネームプレートだけではなく稀琉の帽子に刺繍されているものであった。クロムやロスのコートの端にもロゴが入っている。衣類にこのロゴをつけているのは"裏の従業員"だけであった。
「紅い目の2人がすぐ見つからなくともこのロゴをつけてる奴を捕まえて"教えて"貰えれば早いかもね。…いるか糸花(いとは)」
「はい」
暗闇に向かって呼びかけるといつの間に来たのか分からないが綺麗な女が電柱の側から姿を現した。
「このロゴつけてる奴に会ったら俺のところに連れてきてくれる?…ちょーっと"お話し"したいからさ」
携帯の画面を見せながら不敵に笑った。言葉の意味を理解した女は頷いて「仰せのままに」と再び電柱の影に行ったかと思えばすぐに消えていた。
「…フフッ。楽しくなりそうだ」
空け始めている空を見ながら楽しそうにヤナは呟いた。
【第3夜 甘い毒牙】