やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
第3節:パーティー
煌びやかな光に彩られる部屋。
いかにも高価なスーツに身を包んだ男性達。
それ以上に高価なドレスや装飾品を身に纏う女性達。
そして、部屋の端には、バイキング方式の色々な国の高級料理が、所狭しと並べられていた。
そんなどう見ても、私には不釣合いな場所の部屋の真ん中で私は、無理やりドレスを着せられて立っていた。
「お飲み物いかがですか?」
ボーイが私に聞いてきた。
「い、いえ、結構です。」
とてもじゃないが、何が何だかわからないこの状況では、飲み物でさえ口に入れる心境ではなかった。
(・・・・・・落ち着け、私。)
私は、自分自身を落ち着けようと心の中で繰り返す。
私の周りには、いかにも、場に馴染んでいる男性や女性が、優雅に会話を楽しんでいた。
当然、その中に私の見知った人などいない。
心細さを感じながら、キョロキョロと落ち着かない私。
そんな中で後ろから、私に聞きなれた声で話しかけてきた人がいた。
「なにソワソワしてんだよ、小夜?」
私は、その聞きなれた声にうれしくなり、もの凄いスピードで振り返った。