やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「真木さん!!・・・・・・・って何で口の周りがそんなに汚れてるんですか?・・・・しかもドレス着てるし・・・」
私は、呆れた表情で真木ヒナタを見た。
私が見た真木ヒナタは、口の周りは、食べ物のソースなどでかなり汚れており、しかも、女装で着ているドレスにまで食べ物の汚れがついている。
周りからは、いかにも、おかしな子といった視線と嘲笑をあびていた。
「・・・・・ちょっと距離をとって話しませんか?」
私まで真木ヒナタと同じような視線を浴びるのは嫌だったので、とりあえず提案してみる。
「・・・嫌だ。俺、小夜と一緒にいる。・・・・実は、俺、ちょっと寂しかったんだよね・・・。」
真木ヒナタがしんみりと哀しげな表情で言った。
「真木さん・・・・・・って信じるわけないでしょ!!少しでも寂しさを感じている人が、そんなに口の周りとドレスに食べ物の汚れをつけてくるわけないでしょ!!!」
「何で言い切れるんだよ、小夜!!俺だって小夜が連れ去られたのが心配で、アイス全部食べ終わった後で急いで後をつけてきたんだぞ!まったく、俺がどんなに心配したか・・・・心配で心配で、つい過食気味になっちゃったじゃないか・・・ゲップッ・・・」
「本当に心配なら、アイス食べてる途中でも私が連れ去られないように止めてくださいよ~。」
心からの私の叫び。
「・・・・・それは、俺も迷ったんだよ・・・・小夜をとるか・・・アイスをとるか・・・。」
「・・・・普通、私でしょ?」
そんなことで迷う真木ヒナタに呆れる私。
「そんなのわからないだろ!アイスは、置いたままだと溶けるけど、小夜は溶けないだろうが!!」
真剣な表情で私を見る真木ヒナタ。