やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「大和様~!私のために来てくださったのですね!!」
その時、今まで、一切、しゃべってなかった葵がイスから立ち上がり、組長の側へと走って抱きついてきた。
「んっ、どういうこと?」
葵を受け止めながら、執事を見る組長。
「・・・・・さあ?」
さすがの執事も答えることができなかった。
「そんなに葵のことを愛しておられるのですね。・・・わかりました。この葵、大和様のもとに嫁ぐことに決めましたわ!」
問答無用で進む葵の一人芝居。
さすがにここまでくれば、私も、執事も、真木ヒナタも誰の策略かは、察しがついた。
私達は、一人芝居を続ける葵に注目する。
「・・・・・・何ですの?」
私達の視線に気づき、葵が一人芝居をやめた。