やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「おかしいのは、おかしいですけど・・・・別に組長が、父親に選ばれたのがおかしいのではなくて、父親になろうって話になるのがおかしいですよ?」
「ですよね?アッシも言ったんですよ。絶対、アッシの方が、父親に向いてるって。」
ポチが、話に入ってきた。
「いや、だから、別に誰を父親に選ぶかじゃなくて、父親になろうって話が出るのがおかしいんですよ。ポチさん、私の話、聞いてます?」
「聞いてますよ。それより、小夜姉さんこそ、アッシの話、聞いてますか?」
ポチは、私を見た。
「ポチさんの話って?」
私は、ポチを見る。
「だから、アッシの方が、組長より父親に向いているって話ですよ。そして、アッシが、二十歳まで育てたら、美奈が言うんですよ。美奈、パパと結婚するって。そして、アッシは、めでたく結婚できるってわけですよ。」
自分の歪んだ世界に浸るポチ。
当然、その場に居た全員が、ポチに冷たい視線を送る。
「・・・・ポチさん、美奈ちゃんに近づくの禁止。」
私が、ポチに言った。
「・・・いや、それよりも、このアパートに入るの禁止。・・・同じ部屋の空気吸いたくねぇ~よ。」
組長も、侮蔑の表情でポチを見る。
「・・・というか、いっそ、ここで殺してやった方が、ポチのためにも、人類のためにもいいと思わない?」
真木ヒナタの言葉に全員がうなずいた。
「ちょっと、待ってくださいよ~!!あくまで、夢じゃないですか!!何で、アッシは夢見ただけで殺されなきゃいけないんですか!!」
必死の表情のポチ。
「それが、未来の犯罪者を生まない最善の方法なんだよ。・・・・人類のために死んでくれ、ポチ。」
組長が、少し悲しそうにポチの肩を叩いた。