やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「美奈ちゃん、私、小夜、はじめまして。」
私は、まず、笑顔で挨拶をする。
「・・・・・美奈・・・・・5歳。」
美奈は、恥ずかしそうに組長の背中に隠れて、顔だけ組長の背中から出して答えた。
「そう、美奈ちゃん、5歳なんだ。ところで、美奈ちゃん、お母さんは、どうしたの?」
なるべくゆっくりと話しながら、美奈に聞いた。
「・・・お母さん、どこか行った。」
少し哀しそうに答える美奈。
「・・・そう、それで、お母さん、どこに行ったのかわかる?」
「・・・・ううん。」
首を横に振りながら、答える美奈。
「それじゃ、お母さん、いなくなった時、誰かと一緒だった?」
「・・・・うん。」
美奈は、今度の私の質問には、首を縦に振りながら答えた。
「どんな人と一緒だったの?覚えてる?」
「・・・・うん。」
美奈は、再び首を縦に振ると、組長の背中から、真木ヒナタのところで行って、真木ヒナタの懐を指差した。
「どうしたんだ、美奈?」
真木ヒナタが、美奈を見る。
美奈は、真木ヒナタの懐を指差したまま動かない。
「真木さん、懐に何か入れてるんですか?」
私は、真木ヒナタに尋ねた。
「えっ?懐の中って・・・さっき出した拳銃以外入れてないけど?」
真木ヒナタが、再び、懐から拳銃を取り出した。