やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「はぁ~、はぁ~、はぁ~・・・・・・ここまで来れば大丈夫ですかね?」
私は、隣の真木ヒナタを見た。
「ああ、大丈夫だろ。」
私と同じだけ走っているのに息ひとつ切れていない真木ヒナタが平然と言う。
今いる場所は、銀行から500メートル程度離れた橋の上だった。
微妙に銀行の方向からざわめく音が響いてきていた。
「ところで、こいつら誰?」
真木ヒナタが、カンジとミチとカンジが背負っているお爺さんを指差す。
「僕、ミチ。」
「俺、カンジ。」
カンジとミチが笑顔で答える。
「わしは、三郎いいますけんのぉ~、お嬢ちゃん。」
お爺さんも笑顔で真木ヒナタに答えた。
「ジジィ、俺は、男だよ。」
真木ヒナタは、少し笑いながら、三郎お爺さんを見る。
「ほおー、めんこい顔だで、お嬢ちゃんかと思いましたけんのぉ~。」
カンジに背負われながら、三郎お爺さんは、驚いた様子で真木ヒナタを見た。
「まぁ~確かに、小夜よりは、かわいいからしょうがないけどな!」
なぜか、私を見ながら笑う真木ヒナタ。
「・・・・・・・そ、そうですか?・・・み、見る人によって違うと思いますけど?」
私は、少し強がってみる。
ただ、心の中では、不安でいっぱい。
なぜなら、真木ヒナタはハーフなだけに顔の作りは、純日本人の私とは、はっきりとした差があったから。