やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】


「ほぉ~、小夜、この俺様に勝負を挑むとは、いい度胸だな!」



いきなり橋のらんかんの上に飛び乗り、私を見下しながら指差す真木ヒナタ。



いきなりの事に、近くを通りかかった人から真木ヒナタの身軽さに拍手が起こる。



真木ヒナタは、その拍手に満足げに手を振って応える。



「真木さん、危ないですよ。らんかんの上から降りてくださいよ。」



私は、不安定な橋のらんかんの上に立っている真木ヒナタに言った。



「危ないわけないだろ、小夜?もしかして、俺様が、こんなところから落ちるとでも思っているのか?」



馬鹿にした表情で私を見る真木ヒナタ。



「そうは思いませんけど、河童の川流れってことわざもありますし。」



「河童は、ポチだろ!」



「・・・・別にそういう意味では、ありませんよ。」



呆れながら、真木ヒナタを見る私。



その時、橋の下の川から声が響いてきた。



「だ、誰か、たすけてぇ~!!」



その声に、私達が、橋から川を見下ろすと、上流から人が流されてきていた。



その流されている人の頭には見覚えのあるハゲがあった。



「・・・・・・あれ、河童か?」



つぶやく真木ヒナタ。



「・・・・・たぶん、河童ではないと思います、真木さん。」



サブが、呆気にとられながら言った。



「・・・・・っていうか、ポチさんですよね、あれ?」



私は、サブと真木ヒナタを見た。



私の視線を受け、うなずくサブと真木ヒナタ。

< 190 / 298 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop