やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
第8節:大和の行方
私達が、サブのアパートに着いた時には、すでに日が暮れ始めていた。
(・・・今日できた事って・・・あんなに朝早くアパート出たのに、銀行で振込みしただけなんて・・・はぁ~・・・)
私は、心の中でため息をつきながら、アパートの部屋のドアを開けた。
そして、部屋の中を見ると予想外の光景が繰り広げられていた。
そこにあったのは、執事と美奈が仲良くおままごとをしている光景だった。
「・・・・な、何してるんですか、龍一さん?」
私は、固まったままの表情で執事に尋ねる。
「あっ、小夜さん、お帰りなさい。」
執事は、笑顔で私を見た。
「あっ、はい。ただいまです。・・・ところで、龍一さん、何をされているんですか?」
私は、再び、執事に尋ねた。
「見ての通り、おままごとです。」
長い髪をかき上げながら、自信満々に言い切る執事。
「・・・・そ、そうですか。・・・・と、ところで何で龍一さんが、美奈ちゃんのお世話をしてるんですか?」
「何でと言われても、大和とヒナタさんから、無理やり、美奈さんのお世話を押し付けられたので、私が聞きたいくらいなのですが?」
執事が、苦笑いを浮かべながら、私を見た。
私は、その執事の言葉を聞いて、私の後ろに立っていた真木ヒナタを見る。