やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「何だ?」
私の視線を受けて、真木ヒナタが言った。
「真木さん、何で龍一さんに美奈ちゃんのお世話を頼んだんですか?」
私は、真木ヒナタに聞いた。
「それはだな・・・・何だったっけ?」
真木ヒナタが、サブを見る。
「いや、俺が知るわけありませんよ。」
急に真木ヒナタに見られて、驚いたようにサブが答えた。
「とりあえず、中に入られてはいかがですか?」
執事が、顔を見合わせる私達に声を掛けた。
「はい。」
私達は、とりあえず、全員、部屋に入っていった。
部屋の中には、私、執事、真木ヒナタ、サブ、カンジ、ミチ、三郎お爺さん、そして美奈が座っていて、とても狭かった。
「これどうぞ。」
私は、カンジとミチにバスタオルを渡す。
カンジとミチは、サブとポチを助けるために川に飛び込んでいたので、まだ、体が濡れていた。
それで、お風呂で冷えた体を温めてもらおうと、バスタオルを渡したのだった。
「ありがとう。お風呂借りるよ。」
カンジとミチは、私にお礼を言うと、2人で一緒にお風呂場に行く。
「・・・・あの体格で一緒にお風呂に入るのかな?」
サブが、お風呂場に向うカンジとミチを見ながら、小声でこぼす。
「・・・・いいとんこつのスープが取れそうだな。」
何故かおいしそうな目でカンジとミチを見つめる真木ヒナタ。
微妙に真木ヒナタの口の端からは、よだれが出ていた。
「・・・・サブさんの恩人なんですから、そんなこと言わないでくださいよ、真木さん。」
私は、一瞬、真木ヒナタの言葉にうなずきそうになるが、慌てて、真木ヒナタに注意する。
カンジとミチが、居なくなった部屋は、かなり広くなったように感じた。